心を楽にするために振り返る子育て

ジョハリの窓の誤解と心理カウンセリング

心理カウンセリング
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ジョハリの窓

『ジョハリの窓 』 という考え方があります。

まず、概要をWikiPediaから引用します。

自己には「公開されている自己」(open self) と「隠されている自己」(hidden self) があると共に、「自分は知らないが他人は知っている自己」(blind self) や「誰にも知られていない自己」(unknown self) もあると考えられる。

これらを障子の格子のように図解し、格子をその四角の枠に固定されていないものとして、格子のみ移動しながら考えると、誰にも知られていない自己が小さくなれば、それはフィードバックされているという事であるし、公開された自己が大きくなれば、それは自己開示が進んでいるととる事が出来るだろう。

コミュニケーション心理学や健康心理学などにて頻繁に使用される考え方である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%81%AE%E7%AA%93

簡単にいうと、人間関係を良くするための考え方の一つです。

聞いたことがあるように思います。

心に苦しさを抱えているとき、ほとんどの場合、人間関係の悩みを抱えていますから、『ジョハリの窓』は、一度は、触れたことのあるかもしれませんね。

自分を、次の4つの窓に分けて考えます。

人間関係を良くするためには、小さくなってしまっている『開放の窓』を大きく広げていくことが重要なんですよね。

よくご存じですね

でも、どのようにすれば、『開放の窓』を大きくすることが出来るのでしょうか?

『窓』を広げる方法

『盲点の窓』を『開放の窓』へ広げる方法

短所を教えてもらって、知った短所長所に変えていけば良いんですね…

いえいえ、そうではありません。

長所短所などということとは関係なく、「自分は知らないけれども他人が知っている自分」を、ただ知るだけで良いのですよ。

『秘密の窓』を『開放の窓』へ広げる方法

自分の本心は、隠さずに全部伝えれば良いということですか?

そうではありません。

隠したいことを無理に話すのではありません。

それを隠したい内は隠した方が安全です。

隠したいことは隠す、隠す必要のないことは隠さない

ポイントは、

どうしたら「隠す必要のあること」が「隠す必要のないこと」に変化するかです。

「隠す/隠さない」、「伝える/伝えない」といったことの対象については、誤解が多いので、後で説明しますね。

共通すること

大切なことは、自分自身を変える必要はないということです。

普通は、『開放の窓』を広げようとしなくても大丈夫

実は、『開放の窓』は、普通に人付き合いをしていれば、適度に開いているものです

あら、そうなんですか?

普通に人と関わっていれば、自然にできていることなんです。

ですから、『ジョハリの窓』という考え方を参考にすることはあっても、『開放の窓』を広げることを課題とすることもありません。

ところが、心の苦しさを抱えていると『ジョハリの窓』の受け止め方が変わってしまいます。

『ジョハリの窓』と誤解

『ジョハリの窓 』は、「そんな風に考えることもできる」というような一つの考え方です。

ところが、『心の苦しさ』を抱えてしまうと、『ジョハリの窓 』『心の苦しさを解決する』という 目的が組み込まれて、その解釈が変わってしまいます。

さっき、あなたが言いましたよね

短所を教えてもらって、知った短所長所に変えていけば良いんですね…」ですか?

そうです。

自分の『開放の窓』が小さいことが心の苦しさの原因だったんだ。

だから、『開放の窓』をもっと大きくすれば、きっと心の苦しさは解決するんだわ

って受けとめてしまうんです。

そうじゃないんですか?

盲点の窓開放の窓に変えるために、

他の人から自分の短所を教えてもらって、それを開放の窓に組み込もうと短所改善しようとします。

秘密の窓開放の窓に変えるために、

自分の秘密他人暴露することによって。開放の窓に組み込もうとします。

でも、始めに話したように、『ジョハリの窓』は、理解する為の考え方であって、解決するための方法ではないんです。

勘違いする理由

凡例

○○ : 理想とする人の行動や状態

×× : なってはならない人の行動や状態

心に苦しさを抱えてしまう人は、多くの場合、次のようなことに意識が向きがちです。

○○でなければならないのに、自分は○○ではない

○○になったら、きっと苦しくなくなるはず

×× であってはならないのに、自分は××だ

××でなくなったら、きっと苦しくなくなるはず

そして、理想とする人○○である人××ではない人)に変わろうと努力しています

変わりたくて仕方ないんです。

このような意識が、自分の特徴を、理想かどうかで評価して、次のように考えてしまいます。

知られても良いこと/知られてはいけないこと
  • ○○な自分だから、○○であることを知られてもいい
  • ○○な自分になるまではではないことを知られてはいけない
  • × × な自分ではないから、××ではないことを知られてもいい
  • × × な自分でなくなるまでは、××であることを知られてはいけない

そんな時に『ジョハリの窓』は、変化すべきところを見つけ出すためのツールになってしまいます。

そして、それがいずれの『窓 』 に当てはまるかを考えて、『開放の窓』へ移動させるための対処をしようとするのです。

『盲点の窓』への働きかけ

このような意識で『盲点の窓』に働きかけて、『開放の窓』を広げようとすると…

知らなかった自分の短所に気づくと理想の自分に変化させなければならないと思ってしまいます。

自分を変えるために欠点を教えてもらいたがるようになり、そして、欠点とは反対の自分として振る舞おうと努力するようになります。

また、本当は接しているとつらいはずの『欠点を指摘する人』に惹かれるようになってしまいます。

逆に、知らなかった自分の長所を教えられても、自分を変化させる役には立ちません。

長所を褒めてくれる人とは、好んでは関わろうとしなくなります。

『開放の窓』を広げるという変化 にはつながらないと感じてしまうので、聞き流してしまいがちになります。

『秘密の窓』への働きかけ

また、このような意識で 『秘密の窓』 に働きかけて、『開放の窓』を広げようとすると…

自己開示』ということにこだわって、自分が秘密にしている様々なことを、見境になしに誰かに話そうとしまいがちになります。

普通なら墓場まで持っていくだろう秘密を自ら暴露したりしてしまいがちになることもあります。

話したくない秘密を勇気を出して暴露したとしても、楽になることはありません。

『ジョハリの窓』でいう『開放の窓』が広がることもありません。

逆に、後悔して、つらくなることの方が多いんです。

『窓』への働きかけのまとめ

知られても良いこと/知られてはいけないことの混乱
  1. 『盲点の窓』の部分の短所長所に変えて『開放の窓』に変化させる
    『盲点の窓』の部分の長所は価値を認めず、『盲点の窓』に留め置く
  2. 『秘密の窓』をやみくもに『開放の窓』に変化させようとする

『自分が許せない自分自身の欠点 』 を「これは自分の欠点だ」と開き直って他人に言いふらしたりするようになることもあります。

コンプレックスは、隠しておきたい自分の欠点が周知の事実になっていたとしても、そうではない自分に変わろうとし続けてしまいます。

このように、

  • 偽りの自分とし振る舞ったり
  • 欠点だと強がってみたり
  • 秘密にしておきたいことを暴露したり

そんなことをしていると、つらさがマシになるどころか、ますますつらい気持ちになってしまいます。

心の苦しさ解決しようとして、逆に、心が苦しくなることをしているです。

自分を開こうとして、自分を閉じてしまう
  • 『開放の窓』を広げようとしても、自分本来の長所『盲点の窓』 へと追いやってしまいます。
  • 短所の裏返しとして導き出した長所を持つ理想の自分として、偽りの自分を演じます。
  • 『開放の窓』は偽りで埋まっていってしまい、次第に自分が無くなって、自分が分からなくなってしまいます。

その結果、『開放の窓』は広がらないままで、次のような状態になってしまっています。

『秘密の窓』には、感情が隠されている

秘密にしている事実は『秘密の窓』の中に入れたままで良い

『秘密の窓』の要素を『開放の窓』へと移行させる為にすべきことは、秘密を暴露することではありません。

秘密にしたいことは秘密のままにしておけば良いのです。

『秘密の窓』から開放するのは、自分の感情や感覚

自分の素直な感情や感覚を相手に伝えようとすることです。

しかも、伝える目的は、相手を変えるためではありません。

ただ自分を知ってもらう為に伝えるのです。

知るだけで、人( 自分も他人も )は、少し変わるものなのです。

心の苦しさには、自分の感情や感覚を隠そうとする働きがあるのです。

ポイント

心の苦しさを解決するために、感情や感覚を伝えて『開放の窓』を広げようとするのではない

心の苦しさを解決した結果、それほどの努力を必要とせずに、 感情や感覚を伝えられるようになって、自然に『開放の窓』が広がる

心の苦しさの原因

そこで、注目されるのが『心の苦しさの原因』です。

結局のところ、これが分からず困ってしまい、色々な間接的な対処方法を考えてしまうのです。

『ジョハリの窓』に基づく心へのアプローチも同様ですが、ここからは、『心の苦しさの原因』について直接的に説明します。

記憶に刻まれた子供の頃の思い出(つらくされた挙げ句の果て、救ってもらえなかった気持ち)

「すべき」「すべきではない」というのは、子供の頃の思い出が関係しています。

  • 「すべき」は、
    しないと怒られる、しないと馬鹿にされる、しないと相手にしてもらえない、しないと無視される、しないと嫌われる…など
  • 「すべきではない」は、
    すると怒られる、すると馬鹿にされる、すると相手にされない、すると無視される、すると嫌われる…など

子供にとっては、そのような反応を親から引き出してしまうことがとても怖いことで、実際に、そうされることは、とてもつらいことなのです。

そして、そうされることによってつらくなってしまった気持ちが、救われることがなかったのです。

この2種類の体験の繰り返しが、思い出となって、その人の人生を付きまとうようになります。

この恐怖から解放されれば、『ジョハリの窓』の目的は失われ、要素の所在を知るためのただの地図にもどるのです。

だから、どうしても、そのような状況に陥ってしまうことは、避けなければならないのです。

心の苦しさを抱え続ける状態から抜け出すためのの具体的な方法

この恐怖から解放されるためには、実体験を通して、

  • 怒られたり馬鹿にされたりしてつらくなっても、直ぐに、つらい気持ちは楽な気持ちへと回復するという事実を知ること
  • それが、知られても、怒らない人、馬鹿にしない人もいるという事実を知ること

これらを心理カウンセリングを通して体験し、日常生活の中でも、同じ体験をさせてくれる人もいるということを予感できるようになればいいのです。

そうすれば、まず、ありのままの自分の『ジョハリの窓』を受け入れることが出来るようになります。

そして、カウンセリングから離れた日常生活においても、同じ体験をさせてくれる人と身近な人間関係を作って、自然に『開放の窓』を広げながら過ごすことが出来るようになるのです。

『開放の窓』 は、広げようと狭くなり、自分の 『ジョハリの窓』を受け入れ れば、自然に広がるものなのです。

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