精神症状や問題行動について
00.行動や症状の悩み
神経症などの精神症状に陥ったり、一般的な人から問題視されがちな行動から抜け出せなくなったりすることがあります。
そのような時、周りの人が困ることもあるかもしれませんが、その症状や行動に困っているのは、当の本人自身です。
精神症状は、自分の意志とは無関係に生じるように感じてしまいます。
また、問題視される行動は、「それをもうしない」という自分の意志に反して起こしてしまいます。
自分の意志では制御できないと感じてしまうと行き詰ってしまいます。
出口の見えない問題ほど、人を苦しめるものはありません。
そこで、解決の方向性を少しでも感じて頂けるように、ありふれた説明ではなく、少し異なる視点から、これらの行動や症状を説明ます。
01. 体と心はひとつ
悩みを長い間そのままにしておくと、人によっては体の緊張・不眠・不安など、心や体に症状が現れることがあります。
現代は「体は体、心は心」と分けて考える傾向があります。
しかし、私たち人間の中には、そんな明確な境界線はなく、どちらかというと、 『 人間というボヤーッとしたひとかたまりの存在 』 という認識の方が正しいように思えます。
ですから、次のようなことは分かる感じがします。
- 精神的に調子が悪いと、精神的な症状が出ることもあるし、身体的な症状が出ることもある
- また、身体的に調子が悪いときにも、精神的な症状が出ることもあるし、身体的な症状が出ることもある
つまり、何らかの症状があるということは、人間として何かが調子悪い状態だと認識できるということです。
ですから、まず、体の調子をお医者さんに確認してもらうことは大切だと考えます。
神経症などの症状を、精神的な問題だと決め付けずに、精神的なフォローと身体的なフォローを並行で考えようとすることが、心身ともに楽になるための近道になるのです。
02. 気づいていないかもしれない悩み
「悩んでいないけど気分が沈む」という時は、心の苦しさを意識しないように「ストレス」や「コンプレックス」などといった言葉で片付けようとしていることがあります。
長い間、悩みや心が苦しいと感じる状態の中で長く過ごしていると、心の苦しさの感覚に慣れてしまい、その苦しさやつらさを意識でき難くなります。
苦しさやつらさを気づかず意識することはなくても、苦しさやつらさの感覚が生じていることは確かなことです。
無意識の苦しさやつらさは、心にモヤのようにかかったようになり、自分の周りの世界が悲観的に見えてしまったりすることにつながってしまうのです。(「無意識」ではなく「無自覚」という言葉を使った方が、正確な表現のように思います。)
前節で説明しましたが、心の不調と体の不調は、区別することが難しいし、区別しようとする方が無理があるところがあります。
ですから、この心にかかったモヤが、身体的は不調からの信号を感じにくくさせるように働いてしまうところがあります。
そして、身体的な不調が悪化するまで、それに気づかなくなってしまうところもあります。
もし、あなたに、風邪や身体的な症状や病気を悪化させてしまう傾向があるときは、心が苦しいと感じていることに慣れてしまっている可能性があります。
もともと、人間はこの地球上で何の制約もなく自由に生きることが許されているはずです。
だから、みんな楽に生きることができるはずです。
そんな中、いくつかの要因によって、たまたま心の苦しさを抱え込まざるを得なくなってしまっただけなのです。
その解決方法が分からないと、苦しさを感じることは、とても怖いことです。
その苦しさを感じる部分にフタをしてしまいたくなる気持ちも理解できます。
しかし、それは、心の苦しさを解決する方法が分からないときの、応急処置です。
心の苦しさを回復させる正しい方法を知っていれば、心の苦しさに気づけば、心を楽な状態へと戻すことができるので、心の苦しさにフタをしなくても済むようになります。
03. 体だけでなく心のケアも
精神科のお医者さんに行って、もらった薬を飲むと、けっこう不安などは治まったり、心の苦しさが和らいだりし、症状が改善することは多いだろうと思います。
しかし、それだけでは、根本的な解決にはつながり難いところがあります。
薬を飲んで、ゆっくり休んで、でも、それは、起こった症状に対する対症療法で、特に神経症の場合は、薬だけで解決しないことも多いのです。
では、どうすれば良いのでしょうか?
まず、大切なことは、「不安や苦しさが和らいだ状態で、心と体をゆっくりと休ませること」です
神経症に陥りやすい人は『頑張りたい』という傾向が強いので、薬を飲んで楽になったら、また、もとのように頑張ろうとしてしまい易いので、なかなかゆっくりと休めないところがあります。
ですから、次に大切なことは、「誰かにそんな自分の良き理解者になってもらって、心を支えてもらうこと」です。
協力者がいると思えるだけで、神経症に陥り易い人にとっては、大きな癒しにつながりますし、実際の癒しを与えてもらうことが出来ます。
そして、協力者に、助けを求めたり、つらい気持ちを話したりする習慣が身についてくると、これまでは解決できなかった心の苦しさを、短期間で解決できるようになってきます。
04.まとめ
最後に繰り返します。
神経症などの症状と向き合うときに大切なこと、それは、薬を飲んで少し楽になった状態で、もとのように頑張り始めることではありません。
薬を飲んで楽になった状態で、心と体をゆっくりと休めることです。
そして、これまでの人生の中で習慣にしてこなかった「誰かに気持ちを話すこと」、「誰かに助けを求めること」に、楽な気持ちで取り組み、そのことによって得られる人からの癒しで自分の心身を包み込もうとすることなのです。
これが、根本的な解決へと導いてくれるのです。